十条メンタルクリニック JUJO Mental Clinic

診療案内

もの忘れ、認知症について

歳を取ると誰でも「もの忘れ」が増えてくるものです。しかし、今まで普通にやれていたことが急に出来なくなった、慣れている道が分からなくなった、同じことを何度も聞くことが多い、などの場合には注意が必要です。加齢からくるもの(生理的健忘)ではなく、軽度認知障害(MCI)や初期の認知症の場合があります。軽度認知障害や認知症の場合はなるべく早期に治療を開始することが大切になります。

軽度認知障害(MCI : Mild Cognitive Impairment)

認知機能(理解、判断、論理など)に問題が生じているものの、今のところ日常生活に支障がない状態のことです。軽度認知障害をそのままにしておくと徐々に進行し、5年間で50%の人が「認知症」に進行すると言われています。軽度認知障害の段階で適切な治療を行うと認知症の発症を防いだり、遅らせたりすることが期待できます。

認知症

軽度認知障害が進行して、日常生活に支障が出るようになった状態のことです。物事を記憶したり判断したりする能力や、時間・場所・人物を認識する能力が低下するため、日常生活上の困難が徐々に増えていきます。認知症は「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」の3つに大きく分けられます。

アルツハイマー型認知症

疫学的には65歳以上の女性に多く、原因は脳の変性であり、認知機能の低下が徐々に進行します。自覚症状は乏しいことが多く、心配した家族に最初に気づかれることが多いです。

レビー小体型認知症

日本人に多い疾患だと言われています。日本の小坂憲司先生らにより最初に報告されました。アルツハイマー型認知症が女性に多いのに対して、レビー小体型認知症は男性に多い疾患で、男性の有病率は女性の約2倍と言われています。もの忘れなどの認知機能の低下よりも幻視(実際にはないものが見える)やパーキンソン症状(転びやすくなる、小刻み歩行など)が先行することがあります。

脳血管性認知症

脳の血管障害によって起こる認知症のことです。脳の血管障害により、小さい脳梗塞などが増えていくことで、次第に脳の機能が低下し認知症の状態に至ります。原因となる血管障害は生活習慣病で引き起こされることが大半です。高血圧症や糖尿病、高脂血症などにならないように気をつけたり、きちんと治療をすることが予防につながります。

認知症の治療

認知症を治す治療法は、多くの場合、残念ながらまだありません。できるだけ早期に発見して治療を開始し、進行速度を遅らせることが治療目標になります。薬物療法はアルツハイマー型認知症や、レビー小体型認知症の中核である脳細胞の変性の進行をある程度抑えるのに効果があります。早期には家庭内で役割や出番を作って、できるだけ前向きに日常生活を送ってもらうことが大切です。書き取りやドリルなどの認知リハビリテーションや、昔の出来事を思い出すこと(回想法)、家族以外の人との交流(デイサービスや地域の集まり)なども脳の活性化を促します。また、認知機能の低下が進んでしまい、介護が必要な状態となった場合には、介護は長期的になることが少なくありませんので、本人や家族の負担を軽減するために社会資源(デイサービスやショートステイ)を積極的に活用することが大変重要になります。

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